スタッフブログ
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- 2026.09.14
「足がつまずく」のは、足首だけの問題なのか?理学療法士が徹底解説
「歩いていると、麻痺側の足がよく引っかかります」
脳卒中後遺症をお持ちの皆様方から、このような相談を受けることがあります。
歩行中に足先が床に引っかかると、「足首が上がっていないからでは?」と考える方も多いと思います。
確かに、足関節を上に反らす力が弱くなっていることは、つまずきの原因の一つです。
しかし、臨床では、「足先が引っかかる=足首の問題」だけでは説明できないケースも多くあります。
今回は、「なぜ足がつまずくのか」という問題を、足首だけではなく、歩行全体から考えてみます。
足先が床に近づくのは、足首だけが原因ではない
歩行中、足を前へ振り出すときには、足先が床に引っかからないように、脚全体を適切な高さまで持ち上げる必要があります。
このとき働いているのは足首だけではありません。
股関節、膝関節、足関節がそれぞれ適切なタイミングで動くことで、足先と床との距離が確保されます。
例えば、膝が十分に曲がらなければ、脚全体を前へ振り出しにくくなります。
また、股関節が十分に動かなければ、脚を前へ運ぶこと自体が難しくなります。
さらに、足関節を上に動かすタイミングが遅かったり、足部の動きが硬くなったりすることで、足先が床に近づいてしまうこともあります。
つまり、
「足を前へ出す」という一つの動作の中に、股関節・膝関節・足関節の協調した動きが必要
なのです。
「足首をもっと上げましょう」だけでは解決しないことがある
つまずきに対して、「足首を上げましょう」と指導されることがあります。
もちろん、それで改善する方もいます。
しかし、足首だけを意識しても、つまずきが改善しない場合があります。
例えば、膝が十分に曲がっていない状態で、足首だけを強く上げようとしても、脚全体の振り出しは十分に改善しないことがあります。
また、麻痺側の立脚期に十分に身体を支えられていない場合、反対側の脚を早く出そうとすることで、麻痺側の脚を十分に振り出せないこともあります。
さらに、麻痺側下肢の筋緊張が高く、関節の動きが制限されている場合もあります。
このように、「つまずく」という現象の背景には、さまざまな要因が隠れています。
実際の歩行では、どこを見るのでしょうか?
私たちが歩行を見るとき、単純に「足先が上がっているか」だけを確認するわけではありません。
まず、麻痺側の足にしっかり体重を乗せられているかを確認します。
そのうえで、麻痺側で身体を支えながら、反対側の足を前へ出せているかを見ます。
次に、麻痺側の脚が後ろから前へ振り出されるとき、
- 股関節はどのように動いているか
- 膝は適切に曲がっているか
- 足関節はどのタイミングで動いているか
- 足部はどの方向を向いているか
- 骨盤や体幹はどのように動いているか
などを確認します。
さらに、筋力だけではなく、感覚や筋緊張の状態も重要です。
例えば、足の裏の感覚が変化している場合、自分では「足がどこにあるのか」を把握しにくくなり、足の振り出し方が変化することがあります。
「つまずき」は結果として現れている
ここで大切なのは、「つまずき」は原因ではなく、結果として現れている現象だということです。
足先が床に引っかかっているからといって、問題が必ず足先にあるとは限りません。
例えば、麻痺側に十分な荷重ができない
↓
身体を早く反対側へ移動する
↓
麻痺側の脚を十分に振り出せない
↓
足先が床に近づく
↓
つまずく
ということもあります。
また、
膝が曲がりにくい
↓
脚全体を前へ運びにくい
↓
骨盤を大きく動かして代償する
↓
それでも足先が十分に上がらない
↓
つまずく
という場合もあります。
そのため、つまずきを改善するためには、「足をもっと上げる」という指示だけではなく、なぜ足が上がりにくくなっているのかを考える必要があります。
つまずかない歩行を目指すために
もちろん、足関節の筋力を高めることが必要な場合もあります。
しかし、それだけで十分とは限りません。
麻痺側で身体を支える能力を高めることが必要なのか。
膝を曲げる動きを練習する必要があるのか。
足関節の動きを改善する必要があるのか。
筋緊張や関節の硬さへの対応が必要なのか。
あるいは、歩行中の身体の使い方そのものを見直す必要があるのか。
必要なアプローチは人によって異なります。
歩行を改善するときに大切なのは、「悪いところを一つ見つけて治す」という考え方だけではありません。
「つまずく」という結果が、身体のどのような動きの中で生じているのかを見ることが重要です。
当センターでは、歩行中の足先だけを見るのではなく、麻痺側への荷重から脚の振り出しまで、身体全体の動きを確認しながら評価を行っています。
「最近よくつまずく」「足先が引っかかる」と感じている方は、足首だけに原因を求めるのではなく、歩行全体の中で何が起きているのかを一度確認してみることをおすすめします。
ブログ著者

認定理学療法士認定証
脳卒中リハビリテーションセンター
山本 義隆
理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳卒中リハビリテーションセンターの山本です。
「もっと動けるようになりたい」「出来るようになりたい」そんなお困りや不安を感じられている方の手助けができるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリテーションを行っております。
患者さま一人ひとりに合わせた最適なリハビリを提供し、「やってよかった」と感じていただけるよう取り組んでまいります。リハビリテーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
