スタッフブログ
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- 2026.08.17
麻痺側の肩が痛いのはなぜ?原因と対策を理学療法士が解説
こんにちは!
脳卒中リハビリテーションセンターの理学療法士です。
脳卒中のあと、こんな相談を受けることがあります。
「麻痺している側の肩が痛いんです」
「腕を動かすと肩が痛くて……」
「この痛みは脳卒中の後遺症だから、仕方ないのでしょうか?」

実は、麻痺側の肩の痛みにはさまざまな原因があります。
「脳卒中になったから肩が痛い」と一言で片づけることはできません。
大切なのは、
① なぜ痛いのかを知る
② どんなときに痛いのかを確認する
③ 原因に合わせて対策する
ことです。
今回は、麻痺側の肩に痛みが出る代表的な原因を、具体的な例と対策と一緒にご紹介します。
まずは「いつ、どんなときに痛い?」を確認しましょう
肩が痛いとき、まず確認してほしいのが、
「いつ痛いのか?」
です。
例えば、
- 腕を上げると痛い
- 着替えるときに痛い
- 寝返りをすると痛い
- 麻痺側を下にして寝ると痛い
- 誰かに腕を持って動かしてもらうと痛い
- 何もしていなくてもジンジン痛い
- 触るだけでも痛い
など、痛みの出方は人によって違います。
この「痛みの出方」を確認することで、原因を考える手がかりになります。
原因① 肩の動かし方に問題がある
脳卒中後は、麻痺によって腕をスムーズに動かすことが難しくなります。
本来なら肩甲骨と上腕骨が一緒に動くことで、腕を上げることができます。
しかし、麻痺によって肩甲骨の動きが少なくなったり、腕だけを動かそうとしたりすると、肩の一部に負担が集中することがあります。
こんな場合は要注意
「腕を前から上げると肩が痛い」
「腕を上げていく途中で痛みが出る」
このような場合は、肩関節そのものだけでなく、肩甲骨や体幹がどのように動いているのかを確認する必要があります。
対策
痛いからといって、肩を無理やり動かすのはおすすめできません。
肩関節だけを動かすのではなく、
肩甲骨・体幹を含めて、身体全体がどのように動いているか
を確認しましょう。
理学療法士などに動きを確認してもらうことも大切です。
原因② 麻痺によって肩を支えにくくなっている
麻痺が強い場合、腕の重さを肩周囲の筋肉で支えることが難しくなることがあります。
その結果、肩関節に負担がかかったり、いわゆる肩関節の亜脱臼が生じたりする場合があります。
こんな場合は要注意
「腕がだらんと下がっている」
「立っていると肩が引っ張られる感じがする」
「腕を動かすと肩が不安定な感じがする」
このような場合は、肩を支える力が十分でない可能性があります。
対策
大切なのは、麻痺側の腕を適切な位置で支えることです。
座っているときや車椅子に乗っているときなど、腕を置く場所を工夫するだけでも肩への負担を減らせる場合があります。
また、介助をするときも、麻痺側の腕だけを持って引っ張らないことが重要です。
原因③ 肩関節が硬くなっている
脳卒中後は、麻痺によって腕を動かす機会が減ることで、肩関節が硬くなることがあります。
特に、
「以前は上がっていた腕が、最近上がりにくくなった」
という場合は注意が必要です。
こんな場合は要注意
- 髪を洗う動作が難しくなった
- 服を着るときに肩が痛い
- 背中に手を回せない
- 腕を上げようとすると早い段階から痛い
このような場合は、肩関節の動きが制限されている可能性があります。
対策
「硬くなったから、もっと強く伸ばそう」と考えるのは危険です。
痛みを我慢して無理にストレッチすると、かえって痛みを強くする場合があります。
どの方向に、どの程度動かしにくくなっているのかを確認してから、適切な方法で動かすことが大切です。
原因④ 介助や日常生活で肩に負担がかかっている
意外と見落とされやすいのが、日常生活での肩への負担です。
例えば、ベッドから起きるときに麻痺側の腕を引っ張ったり、車椅子への移乗時に腕を持って身体を動かしたりすると、肩に大きな負担がかかることがあります。
こんな場合は要注意
「リハビリでは痛くないのに、家で起き上がるときは痛い」
「介助してもらったあとに肩が痛くなる」
という場合は、日常生活の動作を確認してみましょう。
対策
介助するときは、麻痺側の腕を引っ張って身体を動かさないことが基本です。
「肩が痛い」という結果だけを見るのではなく、
「いつ、どの動作で痛みが出ているのか」
を確認してみましょう。
それだけでも原因が見つかることがあります。
原因⑤ 脳卒中による「痛みの感じ方」の変化
ここまで紹介したものとは少し違い、脳卒中によって痛みの感じ方そのものが変化することがあります。
代表的なものの一つが、中枢性疼痛です。
例えば、
「何もしていないのにジンジンする」
「ヒリヒリ、焼けるような感じがする」
「軽く触れただけでも強く痛い」
など、一般的な肩の痛みとは少し違った特徴がみられることがあります。
また、脳卒中後にはCRPS(複合性局所疼痛症候群)のように、痛みだけでなく腫れや皮膚温、発汗などの変化を伴う場合もあります。
対策
このような痛みの場合、
「肩が硬いから、もっと動かせばいい」
とは限りません。
痛みの原因を正しく判断することが重要です。
「何もしていなくても痛い」
「触るだけでも痛い」
「痛みが強くなってきている」
といった場合は、医師や理学療法士などに相談しましょう。
「痛いから動かさない」も注意が必要です
肩が痛いと、
「動かしたら悪くなりそう」
と考えて、肩を動かさなくなる方もいます。
しかし、動かさない状態が続くと、
動かさない
↓
肩が硬くなる
↓
さらに動かしにくくなる
↓
動かすと痛い
という悪循環につながることがあります。
だからといって、痛みを我慢して無理に動かせばいいわけでもありません。
大切なのは、
「なぜ痛いのかを確認して、その原因に合った方法で動かすこと」
です。
麻痺側の肩が痛いときに大切なこと
麻痺側の肩の痛みには、さまざまな原因があります。
そのため、
「脳卒中になったから仕方がない」
と諦める必要はありません。
まずは、
「いつ痛い?」
「どこが痛い?」
「どんな痛み?」
「何をすると痛い?」
を確認してみてください。
そして、その情報をもとに原因を考えます。
原因が分かれば、対策も変わります。
肩を動かすと痛いのに無理に動かす。
逆に、痛いからといって全く動かさない。
どちらも適切ではない場合があります。
「麻痺側の肩が痛いけど、どうしたらいいんだろう?」
そんなときは、ぜひ一度、医師や理学療法士に相談してみてください。
肩の痛みを「仕方がない」と諦める前に、まずは痛みの原因を一緒に探してみましょう。
このブログについて
このブログでは、理学療法士の視点から、脳卒中リハビリに関する疑問や不安を、できるだけ分かりやすくお伝えしています。
「脳梗塞後の手の痺れ?」
「自主練習は何をすればいい?」
「痙縮とは?」
など、取り上げてほしいテーマやご質問がありましたら、ぜひお気軽にお寄せください。
いただいたご意見やご質問は、今後のブログテーマの参考にさせていただきます。
※個別の病状や治療方針に関するご相談につきましては、メールではお答えできません。診察・リハビリの際にお気軽にご相談ください。
ブログ著者

認定理学療法士認定証
脳卒中リハビリテーションセンター
山本 義隆
理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳卒中リハビリテーションセンターの山本です。
「もっと動けるようになりたい」「出来るようになりたい」そんなお困りや不安を感じられている方の手助けができるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリテーションを行っております。
患者さま一人ひとりに合わせた最適なリハビリを提供し、「やってよかった」と感じていただけるよう取り組んでまいります。リハビリテーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
