スタッフブログ

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  • 2026.01.05

恐怖がリハビリを止めるとき

人間はとても賢い生き物です。

未来を予測できます。
行動の“先読み”ができます。

だからこそ、恐怖心が生まれます。


■ サルの研究から見えるもの

ある研究で、人工的に脳損傷を起こした
脳梗塞モデルのサルが用いられました。

人間と同じように片麻痺を呈します。

しかし興味深いことに、
同程度の障害像を持つ人間と比較すると、サルの方が麻痺の改善が早かった という報告があります。

実験では、サルの少し離れた場所に餌を置きます。

歩かなければ餌は取れません。

バランスを崩しても、転倒しても、
餌を確保するために歩き続けます。

結果として、
歩行能力は人間よりも優位に早く回復したのです。

とても示唆的な研究です。


■ 人間は“予測できてしまう”

ではなぜ、人間の回復は遅れるのでしょうか。

人間は、

「この足で動けば転ぶかもしれない」
「また失敗するかもしれない」

という予測ができます。

つまり、

行動の結果を事前にシミュレーションできる。

これは高度な能力です。

しかし同時に、

“危険を回避する”という行動選択を生みます。

衣食住が確保されている現代社会では、
命をかけて歩く必要はありません。

だからこそ、

・動かない選択
・安全な側だけを使う選択
・挑戦を避ける選択

が成立してしまうのです。


■ 恐怖は弱さではない

恐怖心は、心理的な弱さではありません。

それは、

  • 予測機能
  • 誤差学習
  • 危険回避戦略

といった高度な脳機能の結果です。

つまり、

賢いからこそ生じるジレンマ なのです。

もどかしいですよね。


■ では、私たちは何をすべきか

「頑張れ」と言うことではありません。

「怖がらないで」と言うことでもありません。

重要なのは、

  • 恐怖を過剰に生まない環境設定
  • 転倒リスクをコントロールした課題設計
  • 小さな成功体験の積み重ね
  • “できるかもしれない”という予測の書き換え

恐怖をゼロにするのではなく、
挑戦できるレベルまで下げること。

恐怖を回避しつつ、
適切な負荷をかける。

このような課題の選択が必要と考えています。

ブログ著者

  • 認定理学療法士認定証

脳卒中リハビリテーションセンター

山本 義隆

理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)

脳卒中リハビリテーションセンターの山本です。
「もっと動けるようになりたい」「出来るようになりたい」そんなお困りや不安を感じられている方の手助けができるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリテーションを行っております。
患者さま一人ひとりに合わせた最適なリハビリを提供し、「やってよかった」と感じていただけるよう取り組んでまいります。リハビリテーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

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