スタッフブログ

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  • 2026.01.19

姿勢と運動制御

リハビリテーションでは、生活や仕事だけでなく、余暇やコミュニケーションなども含めた 「日常生活やそれに付随する運動・動作・行為」 を把握することが重要です。
そして、これらの行為を陰で支え、最もその行為の様子を表すのが 「姿勢」 です。


姿勢とは何か

よく「姿勢がいい」「猫背で悪い姿勢だ」といった表現を耳にしますが、これはあたかも意識的な随意運動の一部として姿勢を捉えた言い方です。しかし実際の 「姿勢」 は、意識だけでなく 無意識レベルで起こる身体の形 を指します。

脳卒中後遺症者のリハビリにおいて、中枢神経系の重要な機能の1つは、 姿勢と運動の調整 です。
これにより、運動開始時や外部刺激で生じる身体の揺れに対して、身体を安定化させることができます。


姿勢と運動の関係

姿勢は静的状態、運動は動的状態と理解されがちですが、Sherringtonは次のように述べています。

「姿勢は影のようなものであり、運動に伴っている(Posture follows movement like a shadow)」

つまり 姿勢と運動は切り離せず、常に相互に影響し合っている のです。

例えば:

  • 立位で物を操作するとき、頭頚部・上肢・手・体幹・下肢が同時に動く
  • 座位で食事するとき、頭頚部・上肢・手・口が連動する
  • 歩行では、上肢・下肢が動きつつ、頭頚部と体幹は無意識に安定化される

森はこれを解説しています。

「姿勢の調節が目的とする運動に先行したり随伴したりしながら、運動の終了時点まで影のように遂行される」

姿勢は運動の一部であり、運動の開始前・遂行中・終了時まで、常に調整されています。


姿勢制御と運動制御の3要素

姿勢制御(postural control)と運動制御(movement control)は、以下の3つの要素の相互作用で決まります。

  1. 個体(individual)
    • 知覚(perception)、認知(cognition)、行為(action)からなる
    • 姿勢・運動制御に必要な身体図式(body schema)の生成に関与
    • 認知は運動目標の達成、注意、動機、情動と関係
  2. 課題(task)
    • 寝返り、起き上がり、座位から立位への移行など日常動作
    • 移動、食事、整容、トイレなどの活動
    • 支持基底面が変化しない場合は安定性(stability)、変化する場合は運動性(mobility)が求められる
  3. 環境(environment)
    • 規則的特性(regulatory):歩行時の床面、物体の重さ・大きさ
    • 非規則的特性(non-regulatory):雑音など制御できない環境要素
    • 患者の能力に合わせた課題設定と環境調整が重要

姿勢制御の2つの定義

  1. 姿勢オリエンテーション(postural orientation)
    • 身体各部の位置関係(アライメント)を維持する能力
    • 身体と環境の適切な関係を作る
    • 垂直方向のオリエンテーションを確立し、外界への参照枠を生成
  2. 姿勢安定性(postural stability)
    • バランスを保つ能力
    • 身体の質量中心(CoM)の偏倚や支持基底面の変化に対応
    • 安定性は固定ではなく、運動性(mobility)を伴う

身体図式(body schema)の重要性

姿勢・運動制御には 身体図式 が重要です。
身体図式とは、重力感覚、表在感覚、固有感覚、前庭感覚などを統合し、身体各部の位置関係や環境との関係を脳内で組織化したものです。

  • HeadとHolmesの定義: 「身体図式とは、環境空間内における身体の形態、大きさ、位置、運動を把握するための表象であり、意識に上ることなく運動を制御する側面に関与する」
  • 身体図式は随意運動に必要な フィードフォワード制御 の基盤
  • 脳卒中後の片麻痺患者は、正中線の偏倚や非麻痺側優位の身体図式が生成されることがある

日常生活での姿勢・運動制御の例

  • 皿を洗う動作
    1. 視覚で距離を確認
    2. 前庭感覚で頭部の位置を感知
    3. 足底の感覚で重心を把握
    4. 手を伸ばす前に重心移動や筋活動パターンを無意識に準備
    5. 手を伸ばして皿を洗う
  • このように、姿勢制御と運動制御は 日常生活のあらゆる行為で常に働いている

当院での取り組み

当院では、 医師と一緒にリハビリを行い、感覚入力を高め、麻痺側への荷重を促し、正中感覚を再獲得していくサポートをしています。

まずは 「何が起きているのか」を正しく捉えること
そこから回復への道筋が見えてきます。

ブログ著者

  • 認定理学療法士認定証

脳卒中リハビリテーションセンター

山本 義隆

理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)

脳卒中リハビリテーションセンターの山本です。
「もっと動けるようになりたい」「出来るようになりたい」そんなお困りや不安を感じられている方の手助けができるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリテーションを行っております。
患者さま一人ひとりに合わせた最適なリハビリを提供し、「やってよかった」と感じていただけるよう取り組んでまいります。リハビリテーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

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