スタッフブログ

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  • 2026.02.02

「突っ張る」患者さんは何と闘っているのか

臨床現場でよく目にする場面があります。

「〇〇さん、押さないで」
「力抜いてください」

そう声をかけながら、
傾いた姿勢を修正しようとする場面。

しかし、患者さんはふざけているわけではありません。

むしろ、とても真剣です。

“倒れないように”必死に姿勢を保とうとしている。


■ なぜ突っ張るのか

このような方の多くは、

  • 意識障害がベースにある
  • 感覚障害を伴っている
  • 重度の運動麻痺を呈している

といった背景があります。

つまり、

自分の身体が今どこにあるのか分かりにくい。

姿勢の「定位」が難しいのです。


■ 真っすぐが分からない

私たちは普段、

  • 視覚
  • 前庭覚
  • 体性感覚

を統合して「真っすぐ」を感じています。

しかしそれが崩れると、

「今、自分は傾いているのか?」
「どれくらい力を出せば支えられるのか?」

が分からなくなります。

するとどうなるか。

とりあえず力を入れる。

強く押す。
固める。
突っ張る。

なぜなら、
力を入れることが唯一の“安心材料”だからです。


■ 悪循環が生まれる

しかし、ここで問題が起きます。

過剰な出力

固まる

感覚入力が粗くなる

正確なフィードバックが得られない

さらに姿勢がずれる

もっと力を入れる

完全な悪循環です。

「力を抜いて」と言われても、
抜くことは怖い。

抜いた瞬間に崩れるかもしれないからです。


■ まずやるべきこと

このような場合、

単に姿勢を修正することが目的ではありません。

大切なのは、

安心して力を抜ける環境を作ること。

  • 支持面を広げる
  • 外乱を減らす
  • 触覚入力を明確にする
  • 視覚情報を安定させる

その上で、

“必要な分だけ力を出す”経験を積み重ねる。

課題の難易度を適切に調整し、

成功体験を通して
「これくらいで大丈夫」という予測を書き換える。


■ 突っ張っているのではない

突っ張っているのではありません。

守っているのです。

自分の身体を。

そして、

分からない空間の中で必死に立とうとしているのです。

私たちが見るべきなのは、

その出力の強さではなく、
その人がどれだけ不安定な世界にいるのか。

姿勢の定位が整えば、
力は自然と抜けていきます。

問題は「力」ではなく、
「安心して定位できるかどうか」なのかもしれません。

ブログ著者

  • 認定理学療法士認定証

脳卒中リハビリテーションセンター

山本 義隆

理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)

脳卒中リハビリテーションセンターの山本です。
「もっと動けるようになりたい」「出来るようになりたい」そんなお困りや不安を感じられている方の手助けができるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリテーションを行っております。
患者さま一人ひとりに合わせた最適なリハビリを提供し、「やってよかった」と感じていただけるよう取り組んでまいります。リハビリテーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

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