スタッフブログ
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- 2026.03.17
力はあるのにうまく動かせない理由 ― 運動失調と小脳の働き ―
「手を伸ばしても物にうまく届かない」
「歩くとふらついてしまう」
「力はあるのに動きがぎこちない」
このような症状は 運動失調 と呼ばれます。
しかし運動失調は、
単純な筋力低下や麻痺とは少し違います。
身体を動かすための 運動のコントロール に問題が起きている状態です。
運動失調とは
運動失調とは、
運動麻痺・感覚障害・筋力低下が無いにも関わらず、協調運動障害がある状態
と定義されます。
つまり「動かない」のではなく、
動きの調整がうまくできない状態です。
もう少し本質的に言うと、
失調とは、運動イメージと実際の運動結果の誤差を修正することが難しくなる状態
と考えることができます。
小脳の役割
この誤差修正に大きく関わるのが 小脳 です。
小脳は、
イメージした運動と実際の運動の結果を大脳にフィードバックして修正する役割
を持っています。
例えば、
- コップに手を伸ばす
- ボールを掴む
- 歩いて前に進む
といった動作では
- 大脳で動作をイメージする
- 身体が実際に動く
- 小脳がその結果を確認する
- 誤差を修正する
という仕組みが働いています。
さらに運動経験を重ねると、
小脳はフィードフォワードとして動作を予測できるようになります。
つまり、
運動の経験によって動作の精度が高まるということです。
小脳は3つの役割を持つ
小脳は機能的に 3つの領域 に分けられます。
大脳小脳
主に 四肢の運動制御 を担っています。
障害されると
- 距離測定障害
- 目標に手足が届かない
- 動きが大きくなりすぎる
といった症状が現れます。
脊髄小脳
主に 姿勢や歩行 をコントロールします。
障害されると
- 起立の不安定
- 歩行時のふらつき
などの 起立・歩行障害 がみられます。
前庭小脳
主に
- 姿勢制御
- 眼球運動
を担っています。
障害されると
- 姿勢の不安定
- 眼振
- 眼球運動障害
が生じます。
どこが障害されているかが重要
このように、小脳は部位によって役割が異なるため
どこが障害されているかによって症状が変わります。
そのため、
MRIなどの画像所見で障害部位を確認することが重要になります。
大脳基底核の役割
運動の調整には 大脳基底核 も重要な役割を持っています。
大脳基底核は
運動指令に対して、必要な筋を促通し、不必要な筋を抑制する働き
を持っています。
つまり、
- 動きに必要な筋肉は働かせる
- 不要な筋肉は抑える
という調整を行い、動きを滑らかにしています。
臨床でみられる運動失調の例
例えば小脳障害の患者さんでは、
コップを取ろうとしたときに
- 手が目標より行き過ぎる
- 途中で軌道がずれる
- 手が震える
といった動きがみられることがあります。
これは
運動イメージと実際の運動結果の誤差が修正できていない状態
と考えられます。
また歩行では
- 歩幅がばらつく
- 体幹が揺れる
- ふらつきながら歩く
といった特徴がみられます。
リハビリで重要な考え方
運動失調に対してよくある誤解があります。
それは
「失調を抑えることが目的」
と考えてしまうことです。
しかし重要なのは、
失調を抑えることではありません。
大切なのは
運動の誤差を認識してもらうことです。
- 動きがどこでズレたのか
- どう修正すればよいのか
この経験を積み重ねることで、
運動学習が進んでいきます。
失調患者のリハビリ
失調患者では、
フィードフォワード制御を学習するために、健常者より多くの刺激(運動量)が必要
になると考えられています。
つまり
- 繰り返しの運動
- 十分な運動経験
- 誤差を感じ取る機会
がとても重要になります。
運動経験を積み重ねることで、
動作の精度は少しずつ改善していきます。
当院でのリハビリ
当院では医師と連携しながら、
- 感覚入力を高めるアプローチ
- 姿勢制御を整えるリハビリ
- 運動学習を促す反復練習
を行っています。
運動イメージと実際の動作の誤差を修正していくことを大切にしながら、
患者さん一人ひとりに合わせたリハビリを提供しています。
ブログ著者

認定理学療法士認定証
脳卒中リハビリテーションセンター
山本 義隆
理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳卒中リハビリテーションセンターの山本です。
「もっと動けるようになりたい」「出来るようになりたい」そんなお困りや不安を感じられている方の手助けができるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリテーションを行っております。
患者さま一人ひとりに合わせた最適なリハビリを提供し、「やってよかった」と感じていただけるよう取り組んでまいります。リハビリテーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
