神経変性疾患再生医療

ふくとみクリニックでは「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に則り、厚生労働省へ「再生医療等提供計画書」を提出しています。
脊髄再生医療は、2020年10月23日に再生医療等提供計画番号:PB5200035を取得しました。

脊髄損傷と再生医療について

脊髄損傷

脊髄損傷とは、交通事故や転落、スポーツなどにより身体に外力が加えられて脊髄が骨折や脱臼といった損傷を受けることによる外傷をいいます。
脊髄の損傷部位や程度により、様々な手足の麻痺や感覚障害、排尿排便障害、呼吸障害、血圧調製障害等を生じます。

日本脊髄障害者医学会の疫学調査によると、年間約5,000人の方が新たに脊髄損傷を受傷し、10万人以上の方が重度の麻痺等の大きな後遺症を抱え、車椅子生活や寝たきり生活を余儀なくされています。

脊髄損傷の原因

脊髄の損傷の程度によって、生じる麻痺や感覚障害の程度は時間と共に回復していく軽症のものから動きも感覚も完全に消失した最重症まであり、受傷後の回復の程度も様々です。良好な回復のためには受傷直後よりできるだけ早期から離床、リハビリを開始することが大切で、全身状態の安定や早期離床のために損傷した骨や靭帯を修復固定し、できるだけ安静時間を短縮して積極的なリハビリを行うことが一般的な治療です。

脊髄再生医療

従来、脊髄損傷により脊髄神経が傷つき、自然回復したもの以外の麻痺等の後遺症を回復させる治療法はないと考えられてきました。
脊髄再生医療とは、様々な細胞に分化する機能を持つ幹細胞を用いて、後遺症の改善を目的とした治療です。
この治療は、自分の腸骨(骨盤)から採取した骨髄液に含まれている幹細胞を体外で人工的に培養して増やし、静脈の点滴投与で身体に戻す方法です。
2019年2月に札幌医科大学が条件付きではあるものの骨髄由来間葉系幹細胞による脊髄損傷治療が保険診療として認められました。

本治療を行うようになった経緯

動画の内容をテキストで読む
ふくとみクリニックで脊髄再生医療を行うようになった経緯についてお話ししたいと思います。
現在、脊髄損傷を起こされた患者さんに対して、ご自身の骨髄幹細胞(間葉系幹細胞)を取り出して培養を行いご自身の身体に戻すという再生医療が札幌医科大学で保険診療として行われています。この治療が保険適応になった事によって脊髄損傷の患者さんにとっては大きな一歩が踏み出たことだと考えております。ただこの治療を受けるに際して制限があります。対象者は受傷後約1か月以内とされています。ですから受傷後1か月以上たってしまい基準を満たさなかった患者さんが、当院で脳卒中に対して間葉系幹細胞(自家骨髄幹細胞)による同様の治療を行っていることを知り、「ふくとみクリニックの幹細胞治療を脊髄損傷に対して是非行ってほしい」という問い合わせを多数いただきました。

残念ながら当時は、これらの患者さんに再生医療を行うのに必要な厚生労働省の認可をいただいておりませんでした。医師である私の開院当初からの信念であり、「人は目の前が真っ暗では人生を積極的に前に一歩進めることはなかなかできません、ただ遠くにでも一筋の光が見えた時、人は勇気をもって一歩前に進むことができるのだ」と確信しております。
ですから、脊髄損傷になられた患者さんは、まず札幌医大に問い合わせてください。
そこで治療をしていただければそれがベストだと思います。

ただ、この保険を使って脊髄再生医療をお受けになることのできない患者様、ほかに治療方法がない患者様に対して、ふくとみクリニックではこの治療を行う事を決意し、2020年10月23日に厚生労働省より治療を認可していただきました。

治療の流れ

  • 01. 診察・カウンセリング

    治療をスタートさせる前に必ず診察・カウンセリングを受けていただきます。
    まずは問診、診察を行ったうえで、患者様がこの治療をお受けになることができるのかどうか判断を行っています。患者様の状態を十分把握したうえで、この治療の目的や病気についての向き合い方を共有するために、カウンセリングをおこなっています。

    より効果的な治療を始めるために

    治療の履歴がわかる資料をお持ちください。

    画像や紹介状を基に診察を行い、患者様の症状を把握することによって、この治療が患者さまに適したものであるかを判断しお伝えします。患者様の症状及び今まで受けられた治療内容が分かる資料をお持ちいただければ、より正確で迅速な判断が可能です。

    再生治療を始めるにあたって

    治療目的や生きる意味を見出すのは大事なこと

    カウンセリングでは患者さまの状態を十分把握し、再生医療を行う目的・安全性・リスクそして効果について、ご納得いただけるまで丁寧にお話しいたします。当院では、治療に向き合う姿勢はなによりも大切なものだと考え、カウンセリングを必ず受けていただいています。

  • 02. 採血

    1.血液検査
    2.血清用採血

    血液検査を行い、治療可能な状態なのか、ウイルス等に感染していないかをチェックいたします。およそ1週間で判定結果が出ます。
    また、幹細胞の培養に必要な血清を採取する為、採血を行います。血清用の採血は体に負担のないように2回に分けて採取いたします。(2回目は骨髄液の採取の際に行います)

    一般検査

    末梢血液一般/末梢血液像/AST(GOT)/ALT(GPT)/LDH/γ-GTP/総ビリルビン/総コレステロール/中性脂肪/CPK/ナトリウム/カリウム/クロール/尿素窒素/尿酸/クレアチニン/総蛋白/アルブミン(A/G比)/グルコース/血清鉄/不飽和鉄結合能

    感染症検査

    HIV抗原・抗体/RPR定性/TPHA定性/HBs抗原定性/HCV抗体(CLIA)

    凝固検査

    PT/APTT/フィブリノーゲン

    血液型

    ABO式血液型/RH(D)式血液型

    事前の血液検査は法律により義務付けられています
    治療前の血液検査は、法律により義務付けられています。この血液検査は、患者さまが感染症に感染していないかどうかを調べるものです。採取させていただく骨髄は、他の患者さまと同じ培養室で培養します。患者さまに安全安心な治療をご提供するには、感染症の有無を調べることはとても重要です。そのため万一感染症をお持ちの場合は、再生治療をお断りさせていただくことになります。検査の結果は、採血後約1週間程度でわかります。

  • 03. 骨髄液の採取・採血

    培養用の血液を採取します。
    次にベッドにうつ伏せになり、局所麻酔を使って痛みをなくします。その次に骨髄穿刺針を用いて、腸骨から骨髄液を採取します。

  • 04. 幹細胞の培養及び検査

    採取された骨髄液から骨髄幹細胞を抽出し、ふくとみクリニック内にある培養室で約4週間かけて大切に培養を行います。
    骨髄幹細胞の培養は、厳格な品質管理のもとで行われます。
    培養した細胞については、無菌試験、マイコプラズマ試験、エンドトキシン試験を行います。(約2週間)

  • 05. 幹細胞の投与

    培養によって増殖したご本人の骨髄幹細胞を静脈点滴注射により体内に投与します。

  • 06. 予後検診

    最終投与より3か月後、6か月後、1年後に検診に来て頂きます。
    検診では、治療後の経過を患者様にお聞きし、患者様の状態を把握したうえで、今後の治療に関してお話しさせていただきます。必要に応じて、その他専門医師へのご紹介も行います。

治療費について

治療内容 治療費用
診察・カウンセリング 11,000円 (税込)
血液検査 11,000円 (税込)
脊髄再生医療 4,400,000円 (税込)

脊髄再生医療 治療内容

骨髄穿刺(骨髄採取)・血清用採血2回・骨髄幹細胞培養及び安全性検査・骨髄幹細胞注入(点滴) 1回・検診(3ヶ月・6ヶ月・1年)・処方薬

「脳卒中再生医療」とは、
厚生労働省より再生医療等提供計画番号:PB5160002を取得している治療方法です。

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