2014.06.12
ふくとみクリニック院長の福富です。
今日は、前回に引き続きふくとみクリニックで脳卒中再生医療を行うようになった決定的な理由についてお話ししたいと思います。
それは、僕の「医師」として、「人」としての考え方によるものなのです。
技術を「提供できる人」がいて、その技術を「必要としている人」がいたとします。
このことを第3者がしてはいけないとストップをかけてしまうというのは、僕はおかしいと思うのです。
分かりにくいと思うので具体例を挙げて説明します。
僕が小児外科をしていた時、小児の心臓移植は認められていませんでした。
当然今は小児の心臓移植は認められていますが、当時は大人の移植は許されていましたが、小児は認められていませんでした。
子供に心臓移植を行うのには、大人の心臓はサイズ的に大きすぎるので移植はできません。
ですから子供の心臓移植を行う場合、子供の心臓を移植しなくてはならないのです。
小児外科をしていて僕が思ったことですが、自分のお子様が脳死になられて、心臓を他の子供に提供できる親御さんは少ないと思います。
しかしゼロではないと思っています。
この広い世の中、もしご自身のお子様が脳死になられて、自分の子供ではないのですが、自分の子供の心臓が移植されることによって生き続けていることを願い、その心臓の提供を受けた子供が元気に生活していけるのであれば、脳死になった子供の心臓を提供してもいいととおっしゃる親御さんはいらっしゃると思っています。
そして心臓を提供を望んでいらっしゃる方はたくさんおられると思います。
でも、その当時国の規定上、移植をやってはいけないとされていました。
おかしいと思いませんか?
僕は当時おかしいと思っていましたし、今も思っています。
それを証拠に今現在では小児の心臓移植は国で認められる様になっています。
何も悪いことをするわけではありません。
人が助かることなのです。
当然手術の成功率の問題もありました。
でも移植をやってみないことには、成功率もへったくれもありません。
当然、善意をもって心臓を提供できるという方がいらっしゃった場合のお話です。
これが不可能であれば、提供したいという親御さんの善意を無駄にしてしまうのです。
「提供できる人がいて、欲しいと思う人がいる。それを第3者が否定して行わせない。」ことに、僕は違和感を感じました。
賛否両論あると思いますが、これが僕の考え方であり、生き方です。
このようの考えは、医者になる前からと変わりません。
そして、「脳卒中再生医療を行ってほしいという人」がいて、「脳卒中再生医療をできる環境」がふくとみクリニックにあれば、この脳卒中再生医療をこの若いドクターに行うべきだというのが僕の結論だったのです。
そして、実際このドクターに、ふくとみクリニックにおいて民間医療機関としておそらく初めてとなる脳卒中再生医療という治療を行ったのです。
その後、この治療を行った先生の経過もよく、この脳卒中再生医療をふくとみクリニックで行ったことを知った患者様数人が、僕のところに、自分にもこの治療を行ってほしいと来院されたのです。
ですから、この患者さんたちに十分な説明をした上で、脳卒中再生医療をこの患者さん達にも行いました。
僕としては当然の行動でした。
この当時、この治療は公に行っておらず、紹介の方のみに行っていた治療でした。
しかし、この治療を行われた方々の症状の改善が認められ、本人とそのご家族の方に大変満足していただき、人生を前に進めるお手伝いをさせていただきました。
本当に嬉しかったのを覚えています。
そして自分の行ったことは、決して間違いではなかったことを確信したのです。
そんな最中、まさか僕自身が小脳梗塞で倒れ、長期入院を余儀なくされてしまうとは想像もしませんでした。
この続きについては次回にお話ししたいと思います。