脳卒中再生医療とは

骨髄幹細胞について

骨髄の中には「造血幹細胞」と「間葉系幹細胞」が存在しています。

「間葉系幹細胞」は1972年に、デクスターらが体外で造血幹細胞(血を作る細胞)の維持に必要な細胞として、骨髄中から取り出し培養することに成功しています。ただしこの時は、まだ細胞の名前すらついていませんでした。

「骨・軟骨・脂肪」といった細胞に分化する細胞株がみつかる
1990年代に入ってからは、骨髄中の細胞から「骨・軟骨・脂肪」といった細胞に分化する細胞株を作り出せるようになります。しかしこの細胞株は、中胚葉から分解してできる細胞の一部であり、完全な自己複製機能を持っているとはいえませんでした。この細胞株は、多分化能を有することができることから「間葉系幹細胞(mesemcymal stem cell)」と呼ばれるようになります。これ以降、「間葉系幹細胞」に関する研究は一気に拡大することになり、1999年にはヒトからも同様の細胞を採取することに成功しています。
自己複製機能と固有の系列に分化する「間葉系幹細胞」
間葉系幹細胞は、iPS細胞や受精卵やES細胞(どんなものにでも分化する可能性がある細胞)と同じような分化能(いろんな細胞 になる機能)はありません。しかしながら、自己複製機能を持ち、固有の系列に属する何種類かの細胞へと分化することができる優秀で素晴らしい可能性を秘めた細胞だといえます。

間葉系幹細胞が持つ限定的な多分化能に注目!

先ほどお話したように、間葉系幹細胞はES細胞などと違い、どんな細胞にでも分化するというわけではありません。この細胞のすばらしさは、血管や神経など中胚葉由来の細胞になることがほとんどです。そしてこの特質を用い、脳卒中でダメージを受けた血管や神経を修復させるているところが注目されているのです。