脳への再生療法は今後も発展する可能性が大いにある分野で、現在もいろいろな細胞を用いた再生療法の研究がすすめられています。再生医療の多くは基礎研究の段階ですが、一部はすでに臨床応用が始まっています。当クリニックではこの新しい分野である再生医療の、基礎研究が積み重ねられ、安全性が確認され臨床応用された技術だけを採用。脳卒中の後遺症と再発予防に対して、新たな観点で治療を行っています。
当センターで行っている具体的な治療方法をご説明すると。

固有の系列に属する何種類かの細胞へと分化することができる細胞です。
「間葉系幹細胞」は1972年に、デクスターらが体外で造血幹細胞(血を作る細胞)の維持に必要な細胞として、骨髄中から取り出し培養することに成功しています。ただしこの時は、まだ細胞の名前すらついていませんでした。
先ほどお話したように、間葉系幹細胞はES細胞などと違い、どんな細胞にでも分化するというわけではありません。この細胞のすばらしさは、血管や神経など中胚葉由来の細胞になることがほとんどです。そしてこの特質を用い、脳卒中でダメージを受けた血管や神経を修復させるているところが注目されているのです。

最近では多くの病院で、血管が詰まり血行不全を起こした足や心筋・脳などに、間葉系幹細胞を含む骨髄液が投与されています。間葉系幹細胞をつかった治療で、あたらしい毛細血管を作り出し、血流を改善する試みが行われるようになってきたのです。
現在のところ、投与された間葉系幹細胞が確実に神経細胞になることが実証されているわけではありません。しかしながら間葉系幹細胞と神経細胞には強い関係性が認められています。当院でも間葉系幹細胞を使った神経細胞の活性・再生治療によって、目覚ましい効果を得られた患者さまは数多くいらっしゃいます。間葉系幹細胞が確実に神経細胞に変化するための研究は進んでおり、今後その成果に注目したいところです。

