神経変性疾患再生医療
当センターでは「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に則り、厚生労働省へ「再生医療等提供計画書」を提出しています。
神経変性疾患再生医療は、2020年10月23日に再生医療等提供計画番号:PB5200034を取得しました。
神経変性疾患と再生医療について
神経変性疾患
神経変性疾患とは、脳や脊髄にある神経細胞の特定の神経細胞群が徐々に障害を受け脱落し、神経細胞を中心とする様々な退行性変化を呈する疾患群です。発症原因は未だに明確ではなく、脱落してしまう細胞は病気によって異なっています。
主な神経変性疾患
- スムーズな運動が出来なくなる病気(パーキンソン病)
- 体のバランスがとりにくくなる病気(脊髄小脳変性症)
- 筋力が低下してしまう病気(筋萎縮性側索硬化症:ALS)
- 認知能力が低下してしまう病気(アルツハイマー病)
神経変性疾患再生医療
神経変性疾患再生医療とは、様々な細胞に分化する機能を持つ幹細胞を用いて、神経変性疾患の進行を抑制させる目的で行う治療です。この治療は、自分の腸骨(骨盤)から採取した骨髄液に含まれている幹細胞を体外で人工的に培養して増やし、静脈の点滴投与で身体に戻す方法です。
本治療を行うようになった経緯
ふくとみクリニックで神経変性疾患再生医療を行うようになった経緯についてお話しします。
当院は脳卒中患者に対して、ご自身の骨髄から間葉系幹細胞(骨髄幹細胞)を取り出して培養によってこの細胞の数を増やし、これを体内に戻して脳卒中の後遺症を改善させる脳卒中再生医療を行っています。この治療を行っている中で、ALSやパーキンソン病、アルツハイマー病といった病気を患った患者さんより「ふくとみクリニックで是非この幹細胞治療を行って欲しい」との問い合わせを多数いただきました。
残念ながら当時は、これらの患者さんに再生医療を行うのに必要な厚生労働省の認可をいただいておりませんでした。
僕が脳卒中になって感じたことなのですが、病気が治らないことはとても辛いことです。でもそれ以上に辛いのは、「あなたにはもう行う治療がありません」とか「あなたはもう行う治療はないのでこのままですよ」と言われ絶望の壁にぶち当たった時だと思います。
だからALSやパーキンソン病やアルツハイマー病といった患者さんに当院の間葉系幹細胞による再生医療を行えたら、患者さんはこの壁を乗り越えられるかもしれない、笑顔になれるかもしれないと考え、ふくとみクリニックでは、これらの疾患をお持ちの患者様で、他に治療方法がない方に対して、この治療を行う事を決意し、2020年10月23日に厚生労働省より神経変性疾患再生医療を認可していただきました。
治療の流れ
1
診察・カウンセリング
治療をスタートさせる前に必ず診察・カウンセリングを受けていただきます。
まずは問診、診察を行ったうえで、患者様がこの治療をお受けになることができるのかどうか判断を行っています。患者様の状態を十分把握したうえで、この治療の目的や病気についての向き合い方を共有するために、カウンセリングをおこなっています。
- より効果的な治療を始めるために
-
治療の履歴がわかる資料をお持ちください。 画像や紹介状を基に診察を行い、患者様の症状を把握することによって、この治療が患者さまに適したものであるかを判断しお伝えします。患者様の症状及び今まで受けられた治療内容が分かる資料をお持ちいただければ、より正確で迅速な判断が可能です。
- 再生治療を始めるにあたって
-
治療目的や生きる意味を見出すのは大事なこと カウンセリングでは患者さまの状態を十分把握し、再生医療を行う目的・安全性・リスクそして効果について、ご納得いただけるまで丁寧にお話しいたします。当院では、治療に向き合う姿勢はなによりも大切なものだと考え、カウンセリングを必ず受けていただいています。
2
採血
- 血液検査
- 血清用採血
血液検査を行い、治療可能な状態なのか、ウイルス等に感染していないかをチェックいたします。およそ1週間で判定結果が出ます。
また、幹細胞の培養に必要な血清を採取する為、採血を行います。
- 一般検査
- 末梢血液一般/末梢血液像/AST(GOT)/ALT(GPT)/LDH/γ-GTP/総ビリルビン/総コレステロール/中性脂肪/CPK/ナトリウム/カリウム/クロール/尿素窒素/尿酸/クレアチニン/総蛋白/アルブミン(A/G比)/グルコース/血清鉄/不飽和鉄結合能
- 感染症検査
- HIV抗原・抗体/RPR定性/TPHA定性/HBs抗原定性/HCV抗体(CLIA)
- 凝固検査
- PT/APTT/フィブリノーゲン
- 血液型
- ABO式血液型/RH(D)式血液型
3
骨髄液の採取・採血
培養用の血液を採取します。
次にベッドにうつ伏せになり、局所麻酔を使って痛みをなくします。その次に骨髄穿刺針を用いて、腸骨から骨髄液を採取します。
4
幹細胞の培養及び検査
採取された骨髄液から骨髄幹細胞を抽出し、ふくとみクリニック内にある培養室で約4週間かけて大切に培養を行います。
骨髄幹細胞の培養は、厳格な品質管理のもとで行われます。
培養した細胞については、無菌試験、マイコプラズマ試験、エンドトキシン試験を行います。(約2週間)
5
幹細胞の投与
培養によって増殖したご本人の骨髄幹細胞を静脈点滴注射により3回に分けて3週間おきに体内に投与します。
6
予後検診
最終投与より3か月後、6か月後、1年後に検診に来て頂きます。
検診では、治療後の経過を患者様にお聞きし、患者様の状態を把握したうえで、今後の治療に関してお話しさせていただきます。また必要に応じて、その他専門医師へのご紹介も行います。
治療費について
内容 | 費用 |
---|---|
診察・カウンセリング | 11,000円 (税込) |
血液検査 | 22,000円 (税込) |
神経変性疾患再生医療 | 4,730,000円 (税込) |
脳卒中再生医療は医療保険の対象外となり、自由診療(自費治療・保険外診療)になります。
神経変性疾患再生医療 治療内容
骨髄穿刺(骨髄採取)・血清用採血・骨髄幹細胞培養及び安全性検査・骨髄幹細胞注入(点滴) 3回・検診(3ヶ月・6ヶ月・1年)・処方薬