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脳梗塞後、触ると痛い・冷たいものが痛いのはなぜ?

2026.09.24

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脳梗塞のあと、

「手がしびれる」

という患者さんは少なくありません。

しかし、その「しびれ」の話をよく聞いてみると、

「ジンジンするだけではなく、痛い」
「服が触れるだけでも痛い」
「冷たい水に触れると、ものすごく痛い」
「風が当たっただけでも嫌な痛みを感じる」
「何もしていないのに、手が焼けるように痛い」
「電気が走るような痛みがある」

という方がおられます。

これは、単に「感覚が鈍くなっている」という話ではありません。

脳梗塞によって、痛みを感じる脳の仕組みそのものに異常が生じている可能性があります。

このような痛みの代表が、

中枢性脳卒中後疼痛
Central Post-Stroke Pain:CPSP

です。

最初に結論をお伝えします。

CPSPは、脳梗塞によって傷ついた感覚の神経回路が、痛みを正常に処理できなくなることで生じる「神経障害性疼痛」です。

そのため、肩を痛めたときや膝を痛めたときのような普通の痛みとは、仕組みも治療方法も違います。

そして非常に重要なのは、

CPSPは「視床の脳梗塞だけ」で起こるものではありません。

今回は、この少し分かりにくい脳梗塞後の痛みについて、できるだけ分かりやすく説明します。

まず、「しびれ」と「痛み」は同じではありません

患者さんは、
「しびれる」
という一つの言葉で、さまざまな症状を表現されます。

例えば、

「触られてもよく分からない」

というのは、感覚が低下している状態です。

一方、

「何もしていないのにジンジン痛い」
「軽く触られただけなのに強く痛い」

というのは、単なる感覚低下とは違います。

第1回から第4回までお話ししてきたように、脳梗塞後には、

  • 触覚
  • 温度覚
  • 痛覚
  • 位置覚

など、さまざまな感覚が障害されます。

そもそも脳梗塞でなぜ手足がしびれるのかについては、第1回で詳しく説明しています。                                                        第1回「脳梗塞後の手足のしびれはなぜ起こるのか?」

しかしCPSPでは、

「感じにくい」のではなく、「本来痛くない刺激まで痛みとして感じる」

ということが起こります。

ここが大きな違いです。

服が触れただけなのに痛い。それには名前があります

例えば、健康な手でシャツの袖に触れても、普通は痛くありません。

しかしCPSPの患者さんでは、

  • 服が触れる
  • 布団が当たる
  • 手を軽くなでられる
  • 風が当たる

といった、本来なら痛くない刺激を痛みとして感じることがあります。

これを、

アロディニア(allodynia)

と呼びます。

また、本来であれば「少し痛い」程度の刺激を、
「ものすごく痛い」
と感じる状態を、

痛覚過敏(hyperalgesia)

と呼びます。

例えば、

少し冷たいものに触れただけなのに激痛が走る。

軽く針先が触れただけなのに非常に強く痛む。

といった状態です。

これは患者さんが「痛みに弱くなった」からではありません。

脳の中で痛みの情報を処理する仕組みが変化している可能性があるのです。

では、なぜ脳梗塞で「痛み」が生まれるのでしょうか?

私たちの身体では、

熱い。
冷たい。
痛い。

という情報が、手足から神経を通って脳へ送られています。

その重要な経路の一つが、

脊髄視床路(せきずいししょうろ)

と呼ばれる神経の通り道です。

大まかに言えば、


手足
↓
脊髄
↓
脳幹
↓
視床
↓
大脳

という経路を通って、痛みや温度の情報が脳へ伝わります。

この感覚経路の途中が脳梗塞で傷つくと、正常な情報がそのまま脳へ届かなくなることがあります。

すると、

  • 神経が過剰に興奮する
  • 本来抑えられるはずの信号が抑えられなくなる
  • 脳内の痛みを調整するバランスが崩れる

といった変化が起こると考えられています。

現在は、

  • 中枢性感作
  • 神経の脱抑制
  • 感覚情報のアンバランス

など、複数の仕組みがCPSPに関係すると考えられています。[9]

ただし、CPSPがなぜ起こるのかについては、現在でもすべてが解明されているわけではありません。

「視床痛」という言葉だけでは正確ではありません

脳梗塞後の強い痛みについて、
「視床痛ですね」
と言われたことがある方もおられるかもしれません。

確かに、歴史的にはCPSPと視床の関係が非常に強く注目されてきました。

視床は、身体から送られてきた感覚を大脳へ伝える重要な中継地点だからです。

そのため、
「視床痛」
という言葉が広く知られるようになりました。

しかし現在では、

CPSP=視床の障害

とは考えられていません。

2017年のシステマティックレビューでも、CPSPは視床以外の脳病変でも起こり、特に脊髄視床路などの感覚経路の障害との関連が重要であることが指摘されています。[5]

実際には、

  • 視床
  • 延髄外側
  • 脳幹
  • 視床から大脳へ向かう感覚経路
  • 大脳皮質

などの病変でも起こる可能性があります。

つまり、「痛みの中継点である視床」だけではなく、「痛みを伝え、処理するネットワーク全体」を考える必要があります。

これは現在のCPSPを理解するうえで非常に大切です。

脳梗塞になってすぐ痛くなるとは限りません

CPSPのもう一つ難しいところがあります。

それは、

脳梗塞の直後から必ず痛むわけではない

ということです。

2020年に69研究をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析では、CPSPの発症時期について、[4]

  • 脳卒中発症とほぼ同時:26%
  • 1か月以内:31%
  • 1か月から1年以内:41%
  • 1年以上たってから:5%

と報告されています。

つまり、

「脳梗塞から半年たって、急に痛みが強くなってきた」

ということもあり得ます。

そのため、「何か月もたってから出てきた痛みだから、脳梗塞とは関係ない」と単純には言えません。

一方で、新しい病気や整形外科的な問題が起きている可能性もあります。

だからこそ診断が重要なのです。

CPSPはどのくらいの患者さんに起こるのでしょうか?

研究によって数字にはかなり幅があります。

2020年の69研究を対象としたメタ解析では、

脳卒中患者全体での統合有病率は約11%

でした。[4]

一方、ガイドラインや研究によっては、これより低い推定値や高い数字も報告されています。

なぜこんなに数字が違うのでしょうか。

大きな理由の一つは、

CPSPを正しく診断すること自体が難しい

からです。

脳梗塞後の痛みがすべてCPSPではありません

これも非常に重要な点なので気を付けてください。

脳梗塞後に痛みがあるからといって、すべてがCPSPというわけではありません。

例えば、

  • 肩関節の痛み
  • 肩関節亜脱臼
  • 痙縮による筋肉の痛み
  • 関節拘縮
  • 末梢神経障害
  • 腰痛
  • 変形性関節症
  • 複合性局所疼痛症候群(CRPS)

などでも痛みは生じます。

もちろん、これらとCPSPが同時に存在する場合もあります。

例えば、

肩関節そのものも痛い。

さらに、

手には焼けるような神経障害性疼痛もある。

ということもあり得ます。

2025年のCanadian Stroke Best Practice Recommendationsでも、CPSPは他の痛みの原因を除外したうえで、診断基準に基づいて評価することが推奨されています。[2]

つまり、

「痛いから痛み止めを出す」だけでは不十分なのです。

まず、

「なぜ痛いのか」

を考える必要があるのです。

なぜ普通の痛み止めが効きにくいことがあるのでしょうか?

ここが、患者さんにとって最も不思議なところだと思います。

例えば、

肩を痛めた。
膝を捻った。
関節に炎症がある。

このような痛みでは、一般的な鎮痛薬が有効な場合があります。

しかしCPSPでは、

「ロキソニンを飲んでも全然変わらない」
「痛み止めを飲んでもジンジンする」

という患者さんがおられます。

なぜでしょうか。

理由は、

痛みが起きている仕組みが違うからです。

CPSPは、炎症を起こした関節や筋肉から痛みが発生しているのではなく、

脳や中枢神経の感覚回路そのものが障害されたことによる神経障害性疼痛

です。

そのため、一般的な炎症性疼痛に使われる鎮痛薬が十分に効かないことがあります。[3]

つまり、

「強い痛みだから、もっと強い普通の痛み止めを使えばよい」

とは限らないのです。

では、どのような薬が使われるのでしょうか?

では、現在のガイドラインを見てみましょう。

日本脳卒中学会の
「脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]」
では、中枢性疼痛に対して、

プレガバリン:推奨度B、エビデンスレベル中

とされています。[1]

また、

  • ガバペンチン
  • ラモトリギン
  • アミトリプチリン
  • SSRIなど

については、投与を考慮してもよいという位置づけです。[1]

一方、2025年のCanadian Stroke Best Practice Recommendationsでは、

  • ガバペンチン
  • プレガバリン

などのガバペンチノイドを第一選択とし、

  • アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬
  • デュロキセチンなどのSNRI

も選択肢としています。[2]

つまり、世界中のガイドラインで細かい順位は完全には一致していません。

これは、CPSPの治療研究がまだ十分ではないことの表れでもあります。

なぜ「抗てんかん薬」や「抗うつ薬」が痛みに使われるのでしょうか?

患者さんから、

「私はてんかんではありません」
「うつ病ではありません」

と言われることがあります。

もっともな疑問です。

しかし、プレガバリンやガバペンチンは、神経の過剰な興奮を抑える方向に働きます。

アミトリプチリンやデュロキセチンは、痛みを調節する神経伝達に作用します。

つまり、

病名としての「てんかん」「うつ病」を治療する目的ではなく、痛みを伝える神経回路へ作用させる目的

で使用されます。

神経障害性疼痛では、このような考え方をすることが大変重要となってくるのです。。

「推奨されている薬=必ず効く」ではありません

このことも正確にお伝えししなければなりません。

例えばプレガバリンは、日本のガイドラインでも推奨されています。

しかし、すべての患者さんに同じように効くわけではありません。

薬を選ぶときには、

  • 年齢
  • 腎機能
  • ふらつき
  • 眠気
  • 転倒リスク
  • 他の薬との組み合わせ
  • 認知機能
  • 痛みの程度
  • 睡眠への影響

なども考える必要があります。

だからこそ、

「何が第一選択か」だけではなく、「その患者さんに何が合うか」

を考える必要があります。

デュロキセチンにも臨床試験があります

2023年に発表されたランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、82人のCPSP患者が対象となりました。[7]

4週間後の痛みの数値評価では、

デュロキセチン群
6.51 → 3.02

プラセボ群
6.37 → 4.40

となり、群間差が認められました。

2点以上痛みが低下した割合も、

  • デュロキセチン群:80.5%
  • プラセボ群:43.9%

でした。[7]

これは興味深い結果ですが、

82人、4週間の研究です。

一つの研究だけで「デュロキセチンなら必ず効く」と考えるべきではありません。

こうした研究を積み重ねながら治療の精度を高めていく必要があるのです。

薬以外の治療はありますか?

あります。

その中でも近年、特に研究されているのが、

反復性経頭蓋磁気刺激
repetitive Transcranial Magnetic Stimulation:rTMS

です。

頭の外から磁気刺激を加え、脳の活動を調整する治療です。

日本の脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]でも、

CPSPに対してrTMSを行うことを考慮してもよい

とされています。[1]

さらに2026年に発表されたメタ解析では、

13件のランダム化比較試験、430人

が解析されました。[8]

非侵襲的脳刺激は偽刺激と比較して痛みを有意に低下させ、

標準化平均差は
-0.64
でした。

特に一次運動野(M1)を刺激した研究では、より大きな効果がみられています。[8]

しかし、

  • 研究数はまだ多くない
  • 刺激方法が統一されていない
  • 長期効果が十分に分かっていない

という課題があります。

したがって、rTMSは有望ですが、すべてのCPSP患者さんに行えばよい万能な治療ではありません。

どうしても痛みが治まらない場合

薬物療法やrTMSなどを行っても強い疼痛が残る場合には、

  • 大脳皮質電気刺激(MCS)
  • 脊髄刺激療法(SCS)
  • 深部脳刺激(DBS)

などの神経刺激療法が検討される場合があります。

日本のガイドラインでも、一部の侵襲的神経刺激療法は、難治例で考慮される位置づけです。[1]

つまり、

最初から行う治療ではありません。

薬物療法などで十分な効果が得られない難治例について、専門施設で慎重に検討する治療です。

リハビリテーションは意味がないのでしょうか?

そんなことはありません。

ただし、

CPSPそのものの痛みをリハビリだけで治せる

と考えるのも正確ではありません。

2025年のシステマティックレビュー・メタ解析では、CPSPに対する身体的介入全体では、痛みについて統計学的に明確な効果は確認されませんでした。[6]

一方で、薬物療法には小さな効果、ニューロモデュレーションには中等度の効果が示されています。[6]

だからといって、

「痛いなら動かさない方がよい」

ということでもありません。

痛みのために手足をまったく使わなくなると、

  • 関節拘縮
  • 筋力低下
  • 廃用
  • 日常生活能力の低下

につながる可能性があります。

CPSPのリハビリテーションでは、痛みを無理に我慢して動かすのではなく、痛みを管理しながら身体機能を維持していくという考え方が重要になります。

脳梗塞後の感覚障害に対するリハビリテーションについては、第4回で詳しく説明しています。                                                     第4回「脳梗塞後のしびれ・感覚障害にリハビリは本当に効くのか?」

痛みだけを診ていてはいけません

CPSPでは、

  • 眠れない
  • 夜中に痛みで目が覚める
  • 触られることが怖くなる
  • リハビリをしたくなくなる
  • 外へ出ることが減る

ということがあります。

長期間痛みが続けば、患者さんの生活そのものに影響します。

CPSPは、痛みだけでなく、睡眠、日常生活、心理状態などを含めて考える必要があります。[2]

大切なのは、心理的なケアが必要だからといって、

「痛みは気持ちの問題」

という意味ではないことです。

CPSPは、中枢神経系の障害による神経障害性疼痛です。

そのうえで、長期間続く痛みが睡眠や心理状態へ影響するため、身体だけでなく生活全体を見る必要があるのです。

脳梗塞再生医療でCPSPは改善するのでしょうか?

このシリーズの最後だからこそ、はっきりお伝えします。

現時点では、

間葉系幹細胞などを用いた脳梗塞再生医療によってCPSPが改善すると断言できる科学的根拠は確認できません。

追加研究が必要です。

2026年7月に発表された、虚血性脳卒中、つまり脳梗塞に対する幹細胞治療の26件のシステマティックレビュー・メタ解析をまとめたアンブレラレビューでは、

  • 神経学的障害
  • 日常生活動作
  • 運動機能

などについて改善の可能性が示されています。[10]

一方で、エビデンスの確実性は多くの項目で低~中等度であり、治療方法や細胞種にも大きなばらつきがあります。

そして、

CPSPという特定の神経障害性疼痛に対する有効性については、十分な臨床的根拠が確立していません。

ですから、

「脳梗塞後の痛みがあります」
↓
「では再生医療をしましょう」

という考え方では不十分です。

むしろ最初に「その痛みは何なのか」を見なければならない

この第5回で最もお伝えしたいことです。

患者さんが、
「右手が痛い」
と言ったとします。

それだけでは治療を考えるには情報が足りません。

  • 肩が痛いのか
  • 手そのものが痛いのか
  • 痙縮で筋肉が痛いのか
  • 関節が痛いのか
  • 末梢神経障害なのか
  • CPSPなのか

さらにCPSPであれば、

  • 触ると痛いのか
  • 冷たいと痛いのか
  • 何もしなくても痛いのか
  • 焼けるような痛みなのか
  • 電気が走るような痛みなのか
  • 夜間に強くなるのか
  • 睡眠に影響しているのか

そこまで見ていく必要があります。

同じ「しびれ」「痛み」という言葉でも、中身が違えば治療も違うからです。

脳梗塞後のしびれがどこまで回復するのかについては、第3回でも詳しく説明しています。                                                       第3回「脳梗塞後のしびれは治るのか?」

私たちが脳卒中再生医療センターで大切にしていること

脳卒中再生医療センターという名前を見ると、

「幹細胞を投与するところ」

と思われるかもしれません。

しかし、私はそれだけでは不十分だと思っています。

再生医療を考える前に、

  • 患者さんの脳梗塞がどこに起きたのか
  • どの神経機能が障害されているのか
  • 運動麻痺はどうなのか
  • 感覚障害はどうなのか
  • 痙縮はどうなのか
  • 高次脳機能障害はないのか
  • 患者さんが感じている「痛み」の正体は何なのか

ここまで見なければならない。

むしろ、

再生医療を行う施設だからこそ、脳梗塞後遺症をより細かく評価する必要がある

と考えています。

治療前に状態を正確に把握していなければ、治療後に何が変化したのかも分かりません。

「何となく良くなった気がする」

ではなく、

何が変わったのか。

何が変わらなかったのか。

それをできるだけ客観的に見ていく。

これが脳梗塞再生医療を行ううえでも非常に重要だと考えています。

5回のシリーズを通して伝えたかったこと

今回、このシリーズでは「しびれ」を一つの入口として、脳梗塞後の感覚について考えてきました。

第1回「脳梗塞後の手足のしびれはなぜ起こるのか?

まず、
「手がしびれているから、手に問題がある」
とは限らないことをお話ししました。

第2回「なぜ脳梗塞後、手は動くのに感覚が戻らないことがあるのか?」

次に、
「動くこと」と「感じること」は同じ神経機能ではなく、回復経過も同じではないことを説明しました。

第3回「脳梗塞後のしびれは治るのか?」

感覚障害には改善する可能性があります。

しかし、何か月でどこまで回復するのかを一つの数字だけで決めることはできないことを説明しました。

第4回「脳梗塞後のしびれ・感覚障害にリハビリは本当に効くのか?」

感覚リハビリには有望な方法があります。

しかし、

「これをすれば必ず感覚が戻る」

という方法はまだ確立されていません。

第5回「脳梗塞後、触ると痛い・冷たいものが痛いのはなぜ?」

今回は、

感覚が「ない」だけではなく、

感覚が「痛み」に変わってしまうことがある

という話をしました。

脳梗塞は「動く・動かない」だけの病気ではありません

脳梗塞の後遺症というと、

  • 歩けるか
  • 歩けないか
  • 手が動くか
  • 動かないか

に目が向きがちです。

しかし患者さんの生活を見てみると、

手は動くけれど感じない。

足は動くけれど床を感じない。

触られるだけで痛い。

冷たいものが痛い。

という問題が残っていることがあります。

だからこそ、

脳梗塞後遺症は一つの尺度だけでは評価できません。

そしてこれは、脳梗塞再生医療について考えるときにも同じです。

治療を行うこと自体が目的なのではなく、

  • その患者さんに今何が起きているのか
  • 何が残されているのか
  • 何に困っているのか
  • 何を改善したいのか

そこから考える。

私は、それが脳梗塞という病気と本当に向き合うことだと思っています。

脳梗塞後のしびれ・感覚障害シリーズ

  1. 第1回 脳梗塞後の手足のしびれはなぜ起こるのか?
  2. 第2回 なぜ脳梗塞後、手は動くのに感覚が戻らないことがあるのか?
  3. 第3回 脳梗塞後のしびれは治るのか?
  4. 第4回 脳梗塞後のしびれ・感覚障害にリハビリは本当に効くのか?
  5. 第5回 脳梗塞後、触ると痛い・冷たいものが痛いのはなぜ?

参考文献

  1. 日本脳卒中学会.
    脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025].
    2025年改訂。
    中枢性疼痛に対するプレガバリン、ガバペンチン、ラモトリギン、アミトリプチリン、rTMSなどの治療推奨を提示。
    ガイドラインを見る
  2. Heart & Stroke Foundation of Canada.
    Canadian Stroke Best Practice Recommendations:
    Central Pain. 2025.
    Published: 2025.
    CPSPの診断、ガバペンチノイド、三環系抗うつ薬、SNRI、多職種管理などについて推奨を提示。
    ガイドラインを見る
  3. Intercollegiate Stroke Working Party.
    National Clinical Guideline for Stroke for the UK and Ireland. 2023.
    Published: April 4, 2023.
    中枢性脳卒中後疼痛と一般的な筋骨格性疼痛を区別し、神経障害性疼痛に対する薬物療法などを提示。
    ガイドラインを見る
  4. Liampas A, et al.
    Prevalence and Management Challenges in Central Post-Stroke Neuropathic Pain:
    A Systematic Review and Meta-analysis.
    Advances in Therapy. 2020;37:3278-3291.
    Published online: May 23, 2020.
    69研究を解析。CPSPの統合有病率、発症時期、病変部位との関連などを検討。
    PubMedで論文情報を見る
  5. Singer J, et al.
    Central poststroke pain: A systematic review.
    International Journal of Stroke. 2017;12(4):343-355.
    Published online: March 23, 2017.
    CPSPを視床病変だけで説明する考えを再検討し、脊髄視床路などの感覚経路の障害との関連を報告。
    PubMedで論文情報を見る
  6. Tamasauskas A, et al.
    Management of Central Poststroke Pain:
    Systematic Review and Meta-analysis.
    The Journal of Pain. 2025;26:104666.
    Published: 2025.
    CPSPに対する薬物療法、身体的介入、ニューロモデュレーションなどを比較したシステマティックレビュー・メタ解析。
    PubMedで論文情報を見る
  7. Mahesh B, et al.
    Efficacy of Duloxetine in Patients with Central Post-stroke Pain:
    A Randomized Double Blind Placebo Controlled Trial.
    Pain Medicine. 2023;24(6):610-617.
    Published: June 1, 2023.
    82人のCPSP患者を対象とし、4週間のデュロキセチン治療による疼痛軽減を検討したランダム化比較試験。
    PubMedで論文情報を見る
  8. Li T, et al.
    Effectiveness of Noninvasive Brain Stimulation for Patients With Central Poststroke Pain:
    A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials.
    American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation. 2026;105(6):533-539.
    Published: June 1, 2026.
    13件のランダム化比較試験、430人を解析し、非侵襲的脳刺激による疼痛軽減を検討。
    PubMedで論文情報を見る
  9. Yuan X, et al.
    Central post-stroke pain:
    advances in clinical and preclinical research.
    Stroke and Vascular Neurology. 2025;10(3):391-406.
    Published: June 30, 2025.
    CPSPの病態、診断、治療、基礎研究についてまとめたレビュー。病態は現在も完全には解明されていない。
    PubMedで論文情報を見る
  10. Kaliyeva V, et al.
    Human clinical evidence on stem cell-based therapies for ischemic stroke:
    An umbrella review with emphasis on mesenchymal stem cells.
    Journal of International Medical Research. 2026;54(7).
    Published online: July 25, 2026.
    虚血性脳卒中に対する26件のシステマティックレビュー・メタ解析を統合。MSCを含む幹細胞治療の臨床的有効性とエビデンスの確実性を検討し、CPSPに特化した有効性は確立していない。
    PubMedで論文情報を見る

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